うた



だれかのうたう声がする  

群青の沖へおよぐ、
ぼくの体に 
何ものかが、血のにおいのようなものをしみ込ませた

ことばもなく 旋律メロディもないこの夢のなかで
彼方へと遠ざかってゆく、
その背に向けて
声を合わせ 一心にうたい、
いのるように呼ぶが
決して、ふりかえることはない

驟雨スコール
こみあげる発作のような郷愁が、ぼくに襲いかかる


                             












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