fragile factory
1
こんなに広い空は、はじめてだ、
ここから、粉々のモルタルの歩みは、軋り、
瓦礫の海に帰する
生温かい湿度に凍えているおまえ、
雨が降り出したよ もう、誰にも見つかるなよ
2
U字溝につまっていたノイズは、嵐が来れば、今も
溢れ出してくるよ
どんな歓声に置き換えようか?
縞々に波打っていたおまえの壁 何だったんだ?
すっかりなくなってしまったな
3
猫がくしゃみをする くしゃみが止まらない
ブーゲンビリア、からからに乾いた土が
ミルク色に輝いている
もう一度くしゃみをしたら、本気で笑えるだろう
目眩がする おまえの声が思い出せない
4
たすけて、押しつぶされそうだ
この収監所は眩し過ぎる ハレルヤ、ハレルヤ、
目の前に突っ立っていたり、
逃げ回ったりしているおまえ
5
頭がぼうっとして、何も考えられないから、
詩を書くことにしよう
おまえが見ている今朝方の鏡は暗く
凍え苛まれていた日々が、幸福であったことを
6
この様だよ。作り笑いしてごらん。
いつも同じ頁が開くんだ。それから世界は逆立ちする。
おまえは最高。完璧。うまくやったよ。
7
おまえはもう笑わない、泣きもしない、声も出ない