fragile factory




こんなに広い空は、はじめてだ、
ここから、粉々のモルタルの歩みは、軋り、
瓦礫の海に帰する

生温かい湿度に凍えているおまえ、
雨が降り出したよ もう、誰にも見つかるなよ


U字溝につまっていたノイズは、嵐が来れば、今も
溢れ出してくるよ
どんな歓声に置き換えようか?

縞々に波打っていたおまえの壁 何だったんだ?
すっかりなくなってしまったな


猫がくしゃみをする くしゃみが止まらない
ブーゲンビリア、からからに乾いた土が
ミルク色に輝いている

もう一度くしゃみをしたら、本気で笑えるだろう
目眩がする おまえの声が思い出せない


たすけて、押しつぶされそうだ
この収監所は眩し過ぎる ハレルヤ、ハレルヤ、

目の前に突っ立っていたり、
逃げ回ったりしているおまえ


頭がぼうっとして、何も考えられないから、
詩を書くことにしよう

おまえが見ている今朝方の鏡は暗く
凍え苛まれていた日々が、幸福であったことを


この様だよ。作り笑いしてごらん。
いつも同じ頁が開くんだ。それから世界は逆立ちする。

おまえは最高。完璧。うまくやったよ。


おまえはもう笑わない、泣きもしない、声も出ない

                             
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

| Tate | Yoko |