伝言



一本の羽根にも重さがあり
ラベンダーの香りは幾年も消えることがない
世界は
世界の、ありとあらゆるものは
人間の身体である
大陸は
数尾の巨大な魚の化石である
天蓋、
部屋、不在、
桃色のカーテンにくるまって
かきあつめた暗い夢を、頭上に押し上げて
再び歩き出すために、
青い本の装釘の
精緻な花の絵を描いてほしい
未だ、名づけられる以前まえの世界にあって
淡々と、この時を生き
光のなかを
泳ぐように歩いていたいのだ
この交差点にも、
永い時が
流れたのであろうか
壊れた幻覚のなかにも流れている風
果たして
自由になれるのか
都市、その道の果てには何があるのか
都市には道が多すぎる
世界は奇妙な変化をつづける
夜は、
様々なものの意味を明らかにする
眠りのなかでは
皆、一様に孤独である
耳鳴りがして、
今また 日付が変わる
何故、ぼくらは出会わなかったのだろう
                             
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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