あいづち
また、インターホンが壊れたみたいだ
なんとまぁ、
新しくしたほうがいいかな
いいんじゃない
でも、お金が無い
ったくもう
世のなか、久しく不況らしいよ
やーだね
あいまいな夢を遡行しながら
ことばを書き留めるが、詩とならず
それにもまして
一篇の詩では解決のつかぬ
そこかしこに散乱する
死んだひととの
消えゆく会話を拾い、掻きあつめ
分類整理して、気づく
身の回りの世話には
どうもね、どうもどうも
ときに、わたしが
八つ当たりしたりすると
ごめんね
そのゆがんだ手は
プラスチックのスプーンを握るのが、
やっとだったが
わたしへのあいづちは
そのように、
おおかた七通りもあれば、
事足りていたのだろう
いや、足りはしない
それだけでは無論、足りはしないが
こうして、ことばを葬るのだ
昏い夕刻の舗道で
外灯のように立ちすくむ
この永遠にも、
終わりはあるだろう
インターホン、どうにか直ったよ
ただの接触不良だった、
とりあえず、もうだいじょうぶだよ
そう、じゃあよかった