solaris



@ 百舌
 
百舌が鳴く
声はするが 姿は
見えない

キリキリと
ひきさくような

(決して耳ざわりがよいとは
 言えぬ声で……)

今朝方も
キリキリと 鳴いた

永い余白  



A 交信

わたしの体内で
光はまれに
交信する
静脈や触覚のすき間で
ふれ合うもの
声はもう
きこえないが

わたしの体内で
それが激しく
耐えがたいとき
あらためて
生きていることの
おだやかな
歓びに気づく

(凪ぎ、あの懐かしい凪ぎが
 再び訪れますように)
 
 
 
B 問い
 
(歩く、前のめりのヴェール
 神とは、問いである)

曇天の朝、工場の扉が閉まっている

「最近、父さんの姿が見えないね
 どこかへ出かけているの?」

それから、わたしの言葉は
どこへ行った?

「……お前、どうしたんだい?
 父さんは、ずっと昔に死んだのに」

紙切れに、はしり書きした
2、3行の  

(始まりも終わりもない
 スクリーンに滴るノイズの雨)
                             
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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