詩人の墓へ
書き直してはならないと命ずる声
「人間は神にはなれない」
ゴミ箱のなかから
くしゃくしゃの紙切れを拾い出す
紙にはこう書かれている
すべてが立ち上がってゆく瞬間は
もう終わったのだ
終わったのだが、
書きつづけねばならないと感じる
なぜなのか?
いつか詩人の墓へ
赴かなければならない
今は、
世界中を旅しても
何も目に入らないだろう
だから、
まず行かなければならない
発表された詩は
決して取り消すことができない
このことば、
盲人には
生まれながらの盲人には
闇が見えるのだろうか?
詩は 恐ろしいほど
これに酷似している
われわれには
決定的に欠損した機能、
それをわれわれは、
あらゆる器官や
感覚をもって補おうとするが、
ことごとく徒労に終わる
人は、
ことばが在ると思って
いるが、
かつて在り、また、
在りつづけると思っているのだろうか?
ことばも
在るように見えるだけなのだ
ことばの不在を許容しなければ
一編の詩の
それら不規則な振舞いが
世界の意味を、読み換えることすら
不可能とするだろう