リチャード・ブローティガンを読んでいたら



リチャード・ブローティガンを読んでいたら
なんたらという作家の
甘ったるい翻訳には、辟易したが
それでも原作は
悪くないのだとわかった
我慢しながら、読んでいたら
この世界そのものが、
お道化ているみたいに見えてきた
たいていぼくはベッドのなかで本を読む
ちょっと油断をしていると  
ベッドのまわりには
雑誌やら、本がいっぱい重なり合っている
いつの間にか、ぼくは眠っている
夢のなかで
絵本を見ているのだ
その絵本のなかで
ある老婆が絵本をみつめていた
絵本には、一つの窓が描かれていて
それは虹色に光る窓で
その窓の向こうは、彼女にしか見えない
懐かしいメロディがきこえる
すっかり目が覚めても
メロディは思い出せないのに
郷愁ばかりが、よみがえってくるのだ
誕生日は死に似ている
夢を思い出すあいだ
そこそこの朝
と、世界に向かって感謝する、そして
リチャード・ブローティガンを読んでいたら
ブローティガン風の詩が、書きたくなった
ちょっと油断をしていると  
ベッドのまわりには
雑誌や本が、いっぱい重なり合っている
まるで、潮だまりに打ち上げられた無数の
クラゲの死骸みたいだ
本か、クラゲか
その真ん中で、横たわっているぼくも
きっと何かの死骸には、違いないのだろうが
                             
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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