モノレール



休館の告知板に落胆し、私たちは行き先をさがしていた
散りはじめた桜が、やさしい雨に濡れそぼっていた
都市は、人びとで溢れかえっていた
駅前の濡れた路面、上空の雲が輝いていた

昔、父から聞かされたモノレールも ようやく開通した
廃墟のように 荒んでいた空き地も
瞬く間に、広大な緑地公園として整備された
川面には、桜の影がゆらゆらと 静かに浮かんでいた

更新された神社やしろの鳥居も、かつて同じ流れを下ってきたという
あらゆる人種の すでに故郷をもたぬ移民の末裔で
ステンレス車輌の最後尾に、進行方向を背にして着席している私たち
当初の計画は、空に絵を描くことだった

周期的な振動が 徐々にスピードを増すと、
大蛇のごとく軌道は、前方にうねり遠ざかっていった
                             












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