南向きの窓
南向きの窓のなかに大きな空が広がっている
鳥がさえずり、飛びかっているのがよく見える
いろいろなことを学ぶ
鳥の飛びかた 降下と上昇
落ちることで飛びつづけること
飛翔の力が増幅されること、など
毛づくろいする その動きのおもしろさ
小さなからだの中に シンプルで 十分な機能を
十全として持っていることの不思議
小鳥のさえずりを研究したり、
クジラの歌を収集するうちに 人生も、
夢のように過ぎる
詩に書けないことも、たくさんある
そうした 生命の コード進行の普遍性
しかし 私の詩は、
それにあらがい つづけようと するのだが
さえずりを 情報、として解析するのは
人間である
鳥のさえずりは 徐々に変化しながら存続するが
おそらく、詩も 変化なしには存続し得ない
組み合わせは 膨大だが 有限である
そして、有限でありながら、
光と風という因子が かけ合わされ
そのバリエーションは、人間の認識を
はるかに凌駕する
さえずりは 夢幻的なものとなる
「自分が何者であるのか?」という問いの答えと
それをさがす手立てや 降下する夢の、意味づけは
自分でするしかない
詩へと上昇するには、さらに永い時が必要だ